
2025年8月16日午前11時頃、羽田発稚内行きのANA571便が、離陸直後にドアの不具合を示す表示が出たため、羽田空港へ引き返しました。
乗客乗員187人を乗せたエアバス社製のA321機はほぼ満席で、国内最北端である稚内空港へ向かう便が戻ってしまった影響は大きく、多くの人の予定を変更せざるを得ない状況となりました。
本記事では今回の事象の概要と背景、さらに稚内空港や航空会社の対応体制について解説します。
事象概要について
羽田空港から北海道の稚内空港へ向かうANA571便は、2025年8月16日午前11時ごろに離陸しましたが、直後にコックピットで「ドア不具合」を示す警告が点灯しました。

そこで安全を最優先に、福島県南部上空で機体は羽田空港へ引き返す判断がなされました。
羽田空港に戻った乗客は別の飛行機にへ振り替えられ、午後3時21分に再び羽田を出発。
大幅な遅れはあったものの、同日中に稚内へ到着することができました。
ANA571便の運航機材とは

今回トラブルが発生したのは、全日空が国内線で運用しているエアバス社製のA321型機です。
- 機体: エアバス A321
- 機体番号: JA132A
- 座席数: 194席(うちプレミアムクラス8席、普通席186席)
A321はANAの国内線で広く使われており、短中距離路線を中心に活躍している機材です。
地方路線ではありますが1日あたりの就航数の少ない空港かつUターンラッシュの時期と重なり、ほぼ満席の状態で運航されていました。
スタッフによる日頃の安全確認
航空機のドアが完全に閉まっているかどうかは、非常に重要な安全項目です。
日本の航空会社では、地上係員がドアを閉めた後に 異物が挟まっていないか、いつもと違う様子はないかなどを、目視と触手で確認します。
さらに客室乗務員(CA)もドアが閉まった後に同様の確認を行います。
実際に飛行機に搭乗した際、CAがドアの周辺を触ってチェックしている姿を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
一方、海外の航空会社ではCA自身が内側からドアを開閉する仕組みも多く採用されており、文化や運用ルールに違いがあります。
なお、いずれも安全確認を徹底することに変わりありません。

稚内空港はどんな空港?

稚内空港は日本最北端にある空港で、定期便は羽田便と新千歳便がそれぞれ1日2便ずつ、計4便のみという小規模な地方空港です。
そのため、羽田からの便が1本欠けるだけでも大きな影響があります。
今回も1日2便しかない貴重な羽田便のひとつが戻ってしまったことで、現地での予定が狂った乗客も少なくなかったでしょう。
大手航空会社だから可能だった対応
今回のケースでは、ANAが予備の機材や乗員を早急に準備できたことから、遅延はあっても同日中に再出発することができました。
大手航空会社は、トラブル時に備えて余剰のパイロット・客室乗務員・機材を用意しているため、柔軟な対応が可能です。
一方でLCCは人員・機材ともに予備が少ないため、同様のトラブルが発生すれば欠航となり、翌日の便にも影響を与えるケースが少なくありません。
7月のスプリングジャパン機で起きた急減圧トラブルの際は発生後、数日間は欠航便が発生してしまいました。
詳しくはコチラで解説しています。
また場合によっては遅延証明書が必要になることもあるでしょう。
詳しくはコチラで解説しています。
まとめ
ANA稚内行きの571便が羽田に引き返した原因は、「ドア不具合表示」でした。
航空会社とスタッフは日頃から入念に確認を行っていますが、それでも機械的な異常表示は避けられないことがあります。
しかし、大手航空会社だからこそ可能な振り替え体制により、乗客は同日中に目的地へ到着できました。
地方空港便は1日数本しか飛ばないため、1便の遅延や欠航が大きな影響を与えます。
今回の事例は「安全を最優先にしながらも、柔軟な対応で利用者を守る」航空会社の体制を改めて示す出来事といえるでしょう。
それではどうか、ご安全に。