
LCC(格安航空会社)をよく利用する方は必読。
2025年6月30日夜、スプリング・ジャパンの上海発・成田行きIJ004便が、九州上空を飛行中に機内の急減圧を検知。
酸素マスクが自動で降下する事態となり、関西国際空港へ緊急着陸しました。
乗客185人・乗員6人、あわせて191人全員が無事で火災やけがはありませんでしたが、使用された機材は運航から外れ、当日と翌日の5便が欠航に。
今後の運航スケジュールにも影響が広がる可能性があります。
本記事では、
- 緊急着陸の詳しい経緯と「急減圧」とは何か
- 運航会社スプリング・ジャパンの基本情報
- LCCならではのトラブル対応とその背景
- 子連れ搭乗で意外と知られていない「酸素マスク制限」
など、空のトラブルとその備えについてわかりやすく解説します。
急減圧で緊急着陸 何が起きた?
- 発生日時:2025年6月30日夜
- 航空会社:スプリング・ジャパン
- 便名:IJ004便
- 出発地:上海浦東空港
- 目的地:成田空港
- 緊急着陸地:関西国際空港
- 使用機材:ボーイング737-800型(定員189人)
- 搭乗者:乗客185人+乗員6人=計191人
- 全員無事に避難/火災・けが人なし
機体は2025年6月30日午後7時55分頃、九州上空を飛行中に操縦士が急減圧を検知し緊急降下。
行き先を急遽、関西国際空港に変更し、約1時間後の午後8時48に無事に着陸しました。
機内では酸素マスクが自動で降下し、乗客にはただ事ではない緊張感が走ったことでしょう。
急減圧とは?なぜ怖いのか
急減圧とは機内の与圧が突然失われ、酸素濃度が一気に低下する現象です。
飛行機は高度1万メートル近くを飛ぶため与圧装置によって機内を快適な気圧に保っていますが、トラブルによって与圧が失われると機内は外気と同じ極端な低圧環境に。
酸素が薄くなるため数十秒で人は意識を失う可能性があり、そのため座席上の酸素マスクが自動で降下し乗客はすぐに装着する必要があります。
ですのでトラブル要因に関係なく、急減圧を検知した瞬間に酸素マスクが下りてくる仕組みとなっています。
原因は調査中 機体トラブルの可能性も
急減圧の直接的な原因は現在調査中ですが、以下のような可能性が考えられます。
- ドアや窓付近のシール不良
- 与圧システムの故障
- 機体構造の劣化や破損
使用されていたボーイング737-800は、世界中で使用されている信頼性の高い中型機です。
今後、国土交通省や運輸安全委員会による正式な調査結果が待たれます。
なお与圧システムは聞きなれない言葉かと思いますが、飛行機を飛ばすのに欠かせない役割で人体で例えるなら、燃料が血液なら与圧システムは神経のようなものです。
スプリング・ジャパンってどんな会社?
- 設立:2012年(運航開始は2014年)
- 本拠地:成田国際空港
- 使用機材:ボーイング737-800型(189席)
- 出資構成:中国の春秋航空が一部出資し、現在はJALグループが過半数を保有
- 主な路線:札幌、広島、佐賀などの国内線と、中国主要都市への国際線
当初は中国系LCCの日本法人としてスタートしましたが、2021年にJALが過半数を取得。
社名を「スプリング・ジャパン」に変更し、現在はJALグループの一員として運航しています。
近年は貨物便にも参入するなど、LCCながらも安定した運航と成長を目指す企業です。
LCCはトラブルに弱い?すでに5便の欠航も
LCCは低価格での運航を実現するために、機材・乗務員の運用に余裕がないのが特徴です。
そのため1機でも運航から外れると、すぐに他の便への影響が出てしまいます。
今回も緊急着陸した機体が成田国際空港にいないことから、
- 当日中の1便
- 翌日の4便
あわせて計5便の欠航が決定しています。今後も追加の欠航が出る可能性があります。
JALやANAなどの大手航空会社(FSC)であればスタンバイ勤務の乗務員も準備されているため、他の機材を差し替えて飛ばすなどの柔軟な対応も可能ですが、LCCはその余力がなく欠航という選択肢しか取れないことが多いのです。
またLCCではトラブル時の宿泊や振替交通の補償が原則としてないケースもあります。
旅行保険への加入や、余裕をもったスケジュール設計が安心につながります。
おまけ情報|膝上の子どもは各列1人まで
生後8日〜2歳未満の子どもは大人の膝の上に乗せて飛行機に搭乗できますが、各ブロックにつき1人までという制限があります。
理由は、酸素マスクの数に限りがあるからです。
たとえば3人掛けの座席には、座席数3席に対して酸素マスクは4つ。
大人2人がそれぞれ膝上の子どもを連れていると5人分のマスクが必要になり、足りなくなってしまうのです。
そのため、
- OK:大人A(子あり)+大人B+大人C
- NG:大人A(子あり)+大人B(子あり)+大人C
のような場合は、搭乗時に客室乗務員が座席の移動を指示することがあります。
細かいように思えるルールですが、いざというときに命を守るための大切な仕組みです。
まとめ|冷静な判断が守った191人の命
- スプリング・ジャパンIJ004便は、機内の急減圧により関空に緊急着陸
- 酸素マスクが自動で降下する中、191人全員が無事避難
- 原因は調査中。与圧系装置や機体の不具合の可能性
- LCCは機材に余裕がないため、5便の欠航が決定済み。今後も影響が出る可能性あり
- 膝上幼児の制限など、安全ルールも理解しておくと安心
航空機は万が一の事態にも備えられた構造になっています。
今回のような事例から私たちも正しい知識と少しの備えをもって、安心して空の旅を楽しみたいものです。