
2025年8月30日9時15分頃、福島発伊丹行きのANA1696便が、離陸直後にエンジンの警告を示す表示が出たため、福島空港へ引き返しました。
乗客乗員144人を乗せたボーイング社製のB737機は多くの乗客が搭乗しており、週末の早朝便が大幅に遅延した影響は大きく、多くの人の予定を変更せざるを得ない状況となりました。
本記事では今回の事象の概要と背景、さらに福島空港や航空会社の対応体制について解説します。
事象概要について
福島空港から大阪の伊丹空港へ向かうANA1696便は、2025年8月30日午前8時すぎに離陸しましたが、コックピットで「エンジンの警告」を示す表示が発出しました。

そこで福島空港上空で6周ほど旋回した後、機体は出発地である福島空港へ引き返す判断がなされました。
降ろされた乗客は羽田空港より呼び寄せた別の飛行機にへ振り替えられ、午後12時10分に再び福島を出発。
大幅な遅れはあったものの、同日中に大阪へ到着することができました。
ANA1696便の運航機材とは

今回トラブルが発生したのは、ANAが国内線で短中距離路線を中心に運用しているボーイング社製のB737型機です。
- 機体: ボーイング B737-800
- 機体番号: JA54AN
- 座席数: 166席(うちプレミアムクラス8席、普通席158席)
地方路線ではありますが東北と関西を結ぶ数少ない交通手段であることと週末が重なり、満席に近い状態で運航されていました。
福島空港はどんな空港?

福島空港は福島県にある唯一の空港で、定期便は伊丹便(1日4往復)と新千歳便(1日1往復)のみという小規模な地方空港です。
そのため1便欠けるだけでも大きな影響があります。
今回のNH1696便は伊丹への始発便で、次の便は13時台で70人乗りのIBEX機なので、振替対応など実質的に不可能です。
貴重な伊丹便のひとつが戻ってしまったことで、現地での予定が狂った乗客も少なくなかったでしょう。
大手航空会社だから可能だった対応
今回のケースでは、ANAが予備の機材や乗員を早急に準備できたことから、遅延はあっても同日中に再出発することができました。
大手航空会社は、トラブル時に備えて余剰のパイロット・客室乗務員・機材を用意しているため、柔軟な対応が可能です。
一方でLCCは人員・機材ともに予備が少ないため、同様のトラブルが発生すれば欠航となり、翌日の便にも影響を与えるケースが少なくありません。
7月のスプリングジャパン機で起きた急減圧トラブルの際は発生後、数日間は欠航便が発生してしまいました。
詳しくはコチラで解説しています。
またツアーやホテルのキャンセル対応など、場合によっては遅延証明書が必要になることもあるでしょう。
詳しくはコチラで解説しています。
ANAで続くトラブル
ANAでは、今回の事象のわずか2週間前にも、羽田発稚内行きの便でドアの不具合表示が出され、羽田に引き返すトラブルが発生していました。
詳しくはコチラで解説しています。
短期間で相次ぐトラブルは利用客の不安を招きますが、いずれも重大事故に至る前に着陸できている点は評価できます。
航空機は高度な技術と徹底した整備によって運航されていますが、複雑なシステムを持つ以上、不具合の可能性は常に存在します。
重要なのは、不具合が発生した際にどれだけ迅速かつ安全に対応できるかです。
今回も早期に異常を察知し、引き返しを決断したことで最悪の事態を回避できました。
機体に何らかの異常があったとのことですので、早急な原因究明を願いたいところです。
まとめ
ANA伊丹行きの1696便が福島に引き返した原因は、「エンジン警告」でした。
航空会社とスタッフは日頃から入念に確認を行っていますが、それでも機械的な異常表示は避けられないことがあります。
しかし、大手航空会社だからこそ可能な振り替え体制により、乗客は同日中に目的地へ到着できました。
地方空港便は1日数本しか飛ばないため、1便の遅延や欠航が大きな影響を与えます。
今回の事例は「安全を最優先にしながらも、柔軟な対応で利用者を守る」航空会社の体制を改めて示す出来事といえるでしょう。
それではどうか、ご安全に。