
飛行機が完全に停止してベルト着用サインも消えて、通路には手荷物を取り出した乗客が所狭しと並ぶ中で…ドアが開かない。
そんな経験、一度はありませんか?
「遅いなぁ」なんて思うかもしれませんが、実は安全のために必要な準備と確認があるからなんです。
本記事では、飛行機が停止してからドアが開くまでの流れを、わかりやすく紹介します。
エンジン停止
飛行機のエンジンは、ものすごい威力で人が近づいたら危ないくらいの吸引力と熱風があるため、エンジンが完全に止まるまでは絶対に近づいてはいけません。
特にプロペラ機は惰性で回っている間も近づけないため、完全停止まで待つ必要があります。
だからまずは、
- 機長がブレーキをかける
- 両側のエンジンを停止
- 衝突防止灯(アンチコリジョンライト)の消灯
この手順が終わるまでは、地上スタッフも作業スタンバイの状態となります。
地上準備
エンジンが止まっても、すぐにドアを開けられるわけではありません。
飛行機のドアを開けるには、いろんな準備と連携が必要です。
搭乗橋(PBB)の操作がうまくいってない
昨今のPBBはボタン1つで自動装着できる空港も増えてきて、最後に微調整するだけで完了する仕様もあり、変化しつつあります。
しかし機材によってはドアの位置が違ったり、停止位置がずれたりすると、スムーズに接続できないことも。
車と異なり操作方法も独特ですので、一度失敗すると沼にハマって何回やり直しても上手く装着できなくなり、新人のうちは苦労します。
駐機場の変更で準備が追いついていない
頻繁に発生するのが、使用する駐機場が飛行機が着陸後に変更になるケース。
飛行機はすでに新しい駐機場に到着しているのに、PBBの準備が間に合っていないというケースです。
変更理由は使用予定の駐機場に遅延している飛行機がいたり、早く着きすぎて駐機場がまだ空いていなかったりと様々です。
なおPBBは小型機から大型機まで幅広く対応可能ですが、急遽変わったことでPBBの高さが全く違うと、その設定から始めなければなりません。
そうなると余計に時間がかかるので、機内で待っている身からすると時間がかかっているように感じてしまうかもしれません。
そのほか、こんな理由も…
- 機体の不具合で自力でエンジン停止ができず、特別な措置が必要
- オープンスポット(沖止め)で使用する、タラップやバスが間に合っていない
- パイロットによる衝突防止灯の消し忘れ
スムーズに飛行機から降りるコツ
機内から少しでも早く出るには、使用する荷物棚の場所にコツがあります。
多くの人は搭乗時に自身の座席の上に収納していますが、実は通路を挟んで反対側の1~2列前の棚がおすすめです。

- 降りるまでに、荷物の状態・位置を座席から確認ができる。(通路側の人が早々に棚を開けた場合)
- 列を進みながら荷物を取り出せる
座席の上だと通路に出るまで鞄がどこにあるか確認できない上、探す際に通路を塞ぐので流れが止まってしまいます。
なお収納棚はどこを使っても問題ありませんので、次回飛行機に乗るときに試してみてください。
まとめ
到着してすぐに降りられないのはサボってるわけでもミスでもなく、安全を十分に確認してからでないとドアを開けられないからです。
「なんでまだ開かないの?」と思ったときは裏側でいろんな人が動いてるんだな〜と、少しだけ応援してあげてみてください。
それでは良い旅を。