衆議院議員の河野太郎さんがモンゴルへ向かう政府専用機での食事を紹介し、SNSで話題になっていますね。
「政府専用機なのに、ANAのビジネスクラスと同じ機内食?」と驚いた方も多いのではないでしょうか。
実は政府専用機は2019年の更新を機に、受託航空会社がJALからANAに変更されました。
今回は普段はなかなか知ることができない政府専用機の内部や機内食をはじめとする運用の裏側を、詳しくご紹介します。
パイロットやCAは航空自衛隊が担当
整備やグランドハンドリングなどはANAが担当していますが、実際に機体を操縦するパイロットや、客室乗務員(CA)は航空自衛隊の隊員です。
政府専用機は航空自衛隊の千歳基地に所属しており、機体そのものも防衛省が管理しています。
したがってANAによって整備・地上支援・機内食の運用支援を担われていますが、実際のフライト業務はすべて航空自衛隊によって行われています。
政府専用機とは?
日本の政府専用機は内閣総理大臣や皇室関係者の海外訪問、各国要人の輸送、緊急援助活動などに使われる特別機です。
初代機はボーイング747-400型機でしたが、2019年にボーイング777-300ER型機へと更新されました。
これに伴い、運航を担う航空会社もJALからANAへ変更。
整備・グランドハンドリング・機内食の提供などを、ANAが担当することになりました。
ANA仕様になった機内設備と機内食
機内座席もANAスタイルに刷新
新しい政府専用機は、ANAの機材と同等の座席構成となっています。
- 随行員区画(ビジネスクラス相当)
1-2-1のスタッガード配列で、計21席。ANAのビジネスクラスと同様、プライバシーを確保した快適な個室風シートです。 - 一般客区画(プレミアムエコノミー相当)
2-4-2配列で85席。シートピッチも広めで、長距離フライトでも疲れにくい設計です。
機内全体の内装もANAらしい青系カラーで統一されており、上品で落ち着いた雰囲気が特徴です。
今回、河野太郎氏は随行員として搭乗しているので、ビジネスクラスのような立派な席なんですね。
話題の機内食はANAが監修
ANAが手がける機内食は、ビジネスクラス相当の高品質なメニュー。
和食・洋食ともに一流の味と盛り付けで、外交にふさわしいクオリティが保たれています。
河野太郎氏がSNSで紹介した写真からも、通常のANAのビジネスクラスとほぼ同等の内容であることがうかがえます。
普段は新千歳空港に駐機|見学できるチャンスも?

政府専用機は通常、新千歳空港の専用格納庫に駐機されています。
残念ながら立ち入りできませんが格納庫の斜め方向に機体の一部が見えるポイントがあり、航空ファンの人気スポットにもなっています。
天気の良い日には、政府専用機を狙った撮影が行われていることもしばしばです。
なぜ政府専用機の運航はANAに?決定理由とは
政府専用機の更新にあたりJAL・ANA両社が提案を行いましたが、最終的に選ばれたのはANAによるボーイング777-300ER型機の提案でした。
その選定理由は次のとおりです。
「ANAホールディングス株式会社提案のB777-300ERは、新たな政府専用機として必要な要求事項をすべて満足しており、機体の性能、機内の仕様、後方支援、教育訓練、納期、経費等について評価を行ったところ、最も高い評価となった。」【内閣官房資料より】
つまり機体やサービスの質だけでなく、運用支援や教育体制、コストパフォーマンスまで含めた総合力でANAが最も優れていたことが、決定の理由です。
おわりに|ANAが支える「空の外交」
政府専用機は外交の第一線を担う「空の迎賓館」とも言える存在です。
ANAがその運航を支えることで、安全性や快適性、サービスの質がいっそう高まっています。
一方で実際に乗務するのは航空自衛隊という、民間と防衛の連携によって支えられた体制が確立されています。
普段はなかなか乗ることも間近で見ることもできない機体ですが、少しでもその中身を知るきっかけになれば嬉しいです。